採用広報とは?3つのメリットとトレンド、企業事例を解説

採用広報とは、自社のカルチャーを求職者に届けるために、企業自ら情報発信することを指します。
「自社の認知度向上」や「採用コストの削減」など多くのメリットが得られるため、多くの企業が採用広報に注目しています。最近では新たなトレンド手法も登場するほど。
本記事では、採用広報が注目されている理由やメリット、手順を解説します。代表的な手法やトレンド、採用広報がうまい企業事例も紹介するので、ぜひ記事を参考に採用活動に活かしてみてください。

採用広報とは?

採用広報とは、自社の魅力・文化を求職者に伝えるために企業自ら情報を発信する活動のこと。具体的には自社のビジネスモデルや業務内容、福利厚生などを紹介します。
売り手市場や人手不足が続くなかで優秀な人材を獲得するには、自社の独自性を効果的にアピールしないといけません。
採用広報で継続的に企業の情報を発信し続ければ、企業の認知度アップや応募者数の増加が期待できます。さらに求職者は入社する前に企業の価値観を把握できるため、企業と求職者のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
採用広報が注目されている理由

情報化が進むなか、求職者は企業に関するさまざまな情報を容易に取得できるようになりました。最近では求人媒体に掲載されている基本的な情報だけでなく、企業のリアルな情報を求める求職者が増えています。
また新型コロナウイルス感染症の拡大や働き方改革の影響で、働く環境への関心が高まっていることも、採用広報が注目されている理由の1つ。「リモートワーク環境が整備されているか」や「一月あたりの残業時間はどれくらいか」を応募基準とする求職者が増えているんです。
採用広報で「自社の魅力」や「社員の働き方」といった求職者が求めている情報を発信すれば、採用活動を有利に進められるでしょう。
採用広報の3つのメリット

採用広報のメリットを3つご紹介します。
- ミスマッチを回避し企業カルチャーに合う人材を獲得できる
- 求職者自ら応募してくれるため採用コストを抑えられる
- 企業の認知が拡大され転職潜在層にもアプローチできる
それぞれのメリットについて詳しくみていきましょう。
1. ミスマッチを回避し企業カルチャーに合う人材を獲得できる
採用広報で企業のリアルな姿を伝えることで、ミスマッチを回避し企業カルチャーに合う人材を獲得できます。
採用サイトを利用する場合は、ある程度テンプレートに沿った採用情報しか掲載できません。一方で採用広報は企業の雰囲気や価値観、独自性を自由に発信できるので、企業カルチャーにマッチした人材が集まりやすい特徴が。
選考・入社前に採用広報で企業に対する理解を深めておくと、入社後のギャップを減らせます。結果として内定辞退者や早期離職者の減少につながるでしょう。
2. 求職者自ら応募してくれるため採用コストを抑えられる
採用広報を通じて「この企業で働きたい」と考える求職者が増えると、求職者が自ら応募してくれるため採用コストを抑えられます。
企業の認知度が低い場合は「求人広告で認知度を向上させて応募者を集める」または「企業自ら求職者をスカウトする」といった方法で採用を進めることが可能です。つまり求職者が自ら応募してくれると、応募者を集めるための採用コストが削減できます。
1つ目のメリットで述べたように、採用広報は内定辞退者・早期離職者の減少にも効果的。「せっかく時間と工数をかけたのに人材を採用できなかった」などのリスクを回避できるので、採用活動を効率的に進められます。よって採用広報は、母集団形成や採用コストの削減を採用課題としている企業におすすめです。
3. 企業の認知が拡大され転職潜在層にもアプローチできる
採用広報で企業の認知度が拡大されると「転職潜在層にもアプローチできる」のも大きなメリット。あらゆる層に向けて積極的に情報を発信していると、候補者が「転職したい」と思ったときに自社が転職先の候補として挙げられるかもしれません。
転職潜在層にもアプローチしたい場合は、求職者以外にとっても有益な情報を提供するように意識してみてください。「スケジュール管理のポイント」や「コミュニケーションのコツ」などをSNSで発信すれば、幅広い層に興味関心を持ってもらえるでしょう。
採用広報を進める手順

採用広報を進める手順は以下の通りです。
- 採用広報の目的とターゲットを決める
- 発信するコンテンツとその内容を決める
- 発信する手法を選ぶ
3つの手順ごとに注意すべきポイントを解説していくので、採用広報を取り入れようと思っている方はぜひご覧ください。
1. 採用広報の目的とターゲットを決める
まずは採用広報の目的とターゲットを決めて今後の方向性を定めます。
「何のために・誰に向けて」情報を発信するのかが決まっていないと、どのような内容・メディアで発信すべきかがわかりません。また目的やターゲットが曖昧なまま発信しても、企業のメッセージが求職者の心に刺さらない可能性もあります。
ターゲットを決めるときは、できるだけ具体的にペルソナを設定するのが重要です。スキル内容や経験年数などの基本情報だけでなく、生活パターンや趣味、価値観なども設定しましょう。
2. 発信するコンテンツとその内容を決める
採用広報の軸が定まったら、発信するコンテンツとその内容を決めていきます。
自社の魅力を言語化して何を発信すべきか考えることが重要です。ただし内容を決める際には、1つ目の手順で決定した目的・ターゲットからずれないように注意しましょう。
企業の魅力や強みを洗い出すには、1960年にマーケティング学者のエドモンド・ジェローム・マッカーシーが提唱した「4P分析」が効果的。4Pとは以下の4つの要素を指します。
- Philosophy(企業理念)
- Profession(業務内容・事業)
- People(人材・文化)
- Privilege(働き方・待遇)
求職者は4Pの要素が満たされた企業に魅力を感じやすいため、4Pを意識して情報を発信すると求職者の興味を引きやすいコンテンツに。また、若手社員に「なぜ自社に興味を持ったのか」や「入社を決めたきっかけ」「入社前に知りたかったこと」などをインタビューすると、参考になる意見がもらえるかもしれません。
3. 発信する手法を選ぶ
次にどのように情報を発信するのか、発信する手法を選びます。手法を選ぶ際には、相手がどのような手段で情報を受け取るのかを考えることが重要です。設定したペルソナをもとに、「ターゲットがよく使用する媒体はどれか」などを考えていきましょう。
採用広報は長期的に取り組むことで効果が得られます。採用にかけられる費用や人的コストを考慮し、運用・管理しやすい手法を選ぶことも大切です。
採用広報の代表的な手法

採用広報の代表的な手法を4つピックアップしました。
- オウンドメディア
- アーンドメディア
- ペイドメディア
- 就職・転職イベント
以下では、それぞれ手法のメリット・デメリットをまとめています。手法の特徴を理解して、自社に合った方法で採用活動を進めましょう。
オウンドメディア
オウンドメディア(Owned Media)とは、自社で所有しているメディアを指します。具体的なオウンドメディアの例は以下の通りです。
- コーポレートサイト
- ブランドサイト
- 自社ブログサイト
- 採用サイト
自社で管理・運用するため、自由に発信できるのが最大のメリット。アーンドメディアやペイドメディアよりも詳細な内容を掲載できるため、より具体的に企業の雰囲気を伝えられます。
取り上げる内容として「商品開発にまつわるエピソード」や「社員の一日のスケジュール」などが挙げられます。ただしサイトの立ち上げや運用を自社で行うので、時間や労力がかかる点には注意が必要です。
アーンドメディア
アーンドメディア(Earned Media)とは、不特定多数のユーザーが情報の起点となるメディアのこと。FacebookやTwitterといったSNSや口コミサイトが例として挙げられます。
誰もがコメントできるメディアを通じて企業と求職者が交流することで、求職者が求めているリアルな情報を提供することも可能です。
アーンドメディアの目的は「認知度の向上」や「求職者との信頼関係の強化」であるため、自社に興味を持ってもらうきっかけを作るメディア。直接採用には結びつきにくい点は注意が必要です。
ペイドメディア
ペイドメディア(Paid Media)とは、有料の広告枠を購入して発信するメディアのこと。具体的にはテレビ・ラジオのCMや新聞・雑誌・Web上の広告が挙げられます。
求職者だけでなく転職潜在層にもアプローチできるため、母集団形成に効果が期待できます。求人サイトによっては登録しているユーザーの年齢や勤務地などの条件を指定して、特定のターゲットに対して広告を表示することも可能です。
なお、掲載費用が継続的に必要となるため、自社の採用状況や予算を考慮したうえで利用を検討する必要があります。
就職・転職イベント
就職・転職イベントに参加すると、自社の魅力を求職者に直接アピールできます。
これまで紹介した3つの手法と異なり、企業と求職者が双方向でコミュニケーションをとれるのが特徴。エンジニアなど専門的なスキルが求められる人材を探している場合は、特定の職種や業界に限定して行われるイベントへの参加がおすすめです。
イベントに参加するには費用がかかり、イベントの資料準備や当日の案内を行う担当者が必要となる点がデメリットとして挙げられます。
採用広報のトレンド

採用活動ではトレンドを抑えることが重要です。ここからはトレンドの手法をご紹介します。
- SNSを活用した発信
- 音声メディアでの発信
採用広報のトレンドを把握し、自社で取り入れるかどうか検討してみてください。
SNSを活用した発信
FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを活用して発信するのが、近年の採用広報におけるトレンドです。ほとんどのSNSは無料で利用できるので採用コストを抑えられます。
拡散力が高く、転職潜在層にもアプローチできる点もポイント。また先ほど挙げたような通常のSNSだけでなく、企業とつながることを目的とした「ビジネスSNS」も存在します。WantedlyやLinkedIn、YOUTRUSTなど、代表的なビジネスSNSを押さえておくのがおすすめです。
音声メディアでの発信
radikoやPodcastいった音声メディアの利用も注目されています。動画を使用した発信よりも収録の負担が少なく、気軽に更新できる点が特徴です。
作業中でも情報を取得できる「ながら聴き」が急速に普及しています。トレンダーズの調査では、20〜30代男女の3人に1人が「音声メディアを日常的に利用している」と回答しました。今後さらなる発展が見込まれる音声メディアを活用すれば、求職者から「トレンドを理解して柔軟に対応できる企業」という印象を持ってもらえるかもしれません。
採用広報が上手い企業事例3選

最後に採用広報がうまい企業事例を3つピックアップします。
- メルカリ|さまざまな媒体で「働く人」を発信
- サイバーエージェント|トレンドのSNSを活用
- LINE|社員個人が情報を発信
「どのように採用広報に取り組めばよいのか、具体的なイメージが持てない」という方は、これからご紹介する事例を参考にしてみてください。
1. メルカリ|さまざまな媒体で「働く人」を発信
メルカリはSNSやリファラル採用など、さまざまなメディアを通して「働く人」を発信しています。
コンテンツプラットフォーム『mercan(メルカン)』では「メルカリの人を伝える」をコンセプトとし、テキストや音声、動画を使って情報を発信。「働く人」の生の声を届けて転職潜在層にもファンを増やすことで「転職を考えたときに、メルカリが思い浮かぶような状態」を目指しています。
2. サイバーエージェント|トレンドのSNSを活用
サイバーエージェントは、AbemaTVやAWAを手がけるエンターテイメント事業会社です。企業ビジョンで「能力の高さより一緒に働きたい人を集める。」と明記しており、採用ではカルチャーマッチを重要視しています。
トレンドのSNSを活用して、会社のリアルなコンテンツを発信。結果として企業のビジョンに共感した人材が多く集まっています。Twitterでは新卒採用やエンジニア採用など採用部署ごとにアカウントを作成し、ターゲットが応募しやすい仕組みを作っているのもポイントです。
3. LINE|社員個人が情報を発信
LINEの採用広報の特徴は、noteやTwitterで社員個人が情報を発信していること。
企業側から発信する内容を指定せず、社員が自発的に発信しています。求職者にとってもっとも信頼できるのは「社員の生の声」です。社員の価値観・働き方を知って「一緒に働きたい」と考える求職者もいるでしょう。社員個人が会社のために発信することで、会社への帰属意識も生まれます。
採用広報で自社の文化を求職者に届けよう
採用広報はミスマッチを回避し、採用コストの削減に効果があります。そのため採用広報は「自社にマッチする人材が集まらない」という採用課題を抱えている企業におすすめです。
発信するコンテンツや手法を選ぶ前に、まずは採用広報の目的とターゲットを明確にしましょう。そして手法ごとの特徴を理解し、自社に合った方法で情報を発信することが重要です。
どのように情報を発信すべきか迷ったら、今回ご紹介した企業事例を参考にしてみてください。採用活動がうまくいかない場合は、採用代行サービスを利用するのも手段のひとつです。
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