採用基準の作り方は?7つのステップや作成時の注意点、具体例も詳しく解説!

人材採用において指標となる「採用基準」。自社にマッチした人材を獲得するために、採用基準を明確化することは重要です。
しかし「採用基準の決め方がわからない」と悩んでいる採用担当者もいるでしょう。
本記事では採用基準の概要・目的や、作り方のステップを具体的にご紹介します。採用基準を作る際の注意点についても詳しく解説していくので、これから採用活動をはじめたい採用担当者の方はぜひご覧ください。

採用基準とは?目的と重要性

採用基準を実際に作る前に、概要・目的や重要性について理解を深めましょう。
「なぜ採用基準を作るのか」がわかると、自然に「どのように作っていくべきか」方向性が見えてきます。では、以下で詳しく解説します。
採用基準の概要と目的
採用基準とは自社にマッチする人材を採用するための評価基準・指標です。採用基準を作成する目的を2つピックアップします。
- 選考を公平に行うため
- 採用業務を効率化するため
採用担当者が複数人いる場合は、明確な基準がないと選考結果にばらつきがでます。感覚にもとづいた不公平な採用を行っていると、要件を満たしていない応募者を採用する可能性も。
採用基準があることで合否判断を行いやすくなります。もし採用基準がないと採用担当者で意見がわかれた際に、どちらの意見を優先すべきか検討に時間がかかってしまうかもしれません。
採用基準を作る重要性
自社に適した人材を効率的に採用するために、採用基準の作成は重要となります。採用基準がないと、採用担当者の主観で採用が進められることに。結果として「自社にマッチした人材を見逃す」または「採用ミスマッチが原因で早期離職者が増える」といった事態が起こります。
さらに採用の指標が決まっていないと、選考過程や合否判断に時間がかかるでしょう。採用業務の効率が悪く採用フローに時間がかかっていると、応募者が離脱するケースもあります。
【7つのステップ】採用基準の作り方

採用基準を作るために必要なのは、以下の7つのステップ。
- 労働・転職市場の状況を把握する
- 社内でのヒアリングを行う
- 求める人材の要件を定義する
- コンピテンシーモデルを作成する
- ペルソナを明確化する
- 評価項目を策定する
- 各情報を採用基準に落とし込む
それでは、各ステップごとに「意識すべきポイント」や「なぜそのステップが必要なのか」を紹介していきます。
1. 労働・転職市場の状況を把握する
まずは労働・転職市場の状況や流れ、トレンドを把握しましょう。採用の状況把握は、3C分析を用いるのがおすすめです。3C分析とは「Customer(市場・顧客)」と「Competitor(競合)」、「Company(自社)」を分析する手法のこと。
また業界や職種によって有効求人倍率は大きく異なります。有効求人倍率が高いほど採用難易度は上がります。有効求人倍率は、厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況」を参考にしてみてください。
競合他社の採用要件をチェックし、相場を踏まえて採用基準を設定しましょう。採用競争が激しいことを知らず理想を突き詰めた採用基準を設けていると、採用活動がうまくいきません。
2. 社内でのヒアリングを行う
経営者や採用担当者の意見だけでなく、現場の意見も取り入れましょう。社内で求められる人材についてのヒアリングを行い、スキルや人柄、経験年数、意欲などの具体的な情報を集めます。
採用担当者のイメージと現場の実態は異なることがあります。そのため社内でのヒアリングが不足しているとミスマッチが起こる可能性も。
役職者・管理者以外にも現場で実際に働く社員にヒアリングすると、より詳しく業務に必要な条件を見つけられるでしょう。特に新人研修を担当した経験のある社員なら、これまでの経験を踏まえて「採用する前に確認しておくべきポイント」を把握しているかもしれません。
3. 求める人材の要件を定義する
市場の状況やヒアリングした現場の声を踏まえつつ、要件を定義していきます。経営層と現場の両方の意見を参考にしながら考えていきましょう。「応募者が集まらない」や「早期離職者が増えている」などの採用課題がある場合は、現在の採用方針を見直して改善点を意識しながら作成します。
ただし「経験が豊富な若手で、向上心が高く、積極的にコミュニケーションが取れる…」など、理想はどこまでも高くなっていきます。採用市場の状況にもよりますが、高すぎる理想条件を提示していると選択肢が絞られて採用が難航する結果に。
求める条件に優先順位をつけて業務に必須となる「MUST(必要)条件」や、あると望ましい「WANT(十分)条件」に分類してみてください。
4. コンピテンシーモデルを作成する
コンピテンシーとは、自社で活躍している社員に共通している「行動特性」を指します。
実際に自社で高い成果を上げている社員の行動特性や性格を分析して「コンピテンシーモデル」を作成すると、自社にマッチした人材の獲得につながります。
たとえば営業職の場合はコミュニケーション能力、エンジニアの場合は論理的思考力が求められるでしょう。もしくは「自社の優秀なエンジニアはコミュニケーション能力が高いので、チームで円滑にプログラムを開発している」場合ならば、論理的思考力だけでなくコミュニケーション能力も重要となります。このように分析によって、イメージだけではわからない新たな共通点が見つかることもあります。
そしてコンピテンシーモデルを作る際には「行動内容」よりも「行動をとった背景・理由」に注目してください。思考を分析することで、より根本的な共通点がわかります。
5. ペルソナを明確化する
ペルソナとは自社が求める人物像のことです。ここまでのフローを通じて明らかになった条件などをもとに、採用したいペルソナを明確化しましょう。
ペルソナはできるだけ具体的に設定するのがポイントです。スキルや性格、経験だけでなく価値観や趣味、ライフワークまで細かく考えます。
ペルソナを明確にすると採用活動にも役立ちます。ペルソナに合わせた採用メディアを活用すれば、求めているスキル・性格を持った人材に対して効果的にアピールできます。
6. 評価項目を策定する
それでは実際に評価項目を策定していきます。具体的な評価項目の例をいくつかご紹介しましょう。
- スキル
- 経験
- 仕事観
- 意欲
- コミュニケーション能力
- 主体性
- ストレス耐性
評価項目を増やすほど、応募者を詳細に評価できます。一方で項目が多すぎると採用担当者の負担が大きくなってしまうでしょう。
採用担当者の負担を考慮したうえで、評価に必要な項目を見定めてください。多数の応募者をチェックする書類選考・一次選考は評価項目を少なめにして、重要な最終面接では細かい評価項目を使用するのがおすすめです。
7. 各情報を採用基準に落とし込む
最後に、ここまでの各情報を採用基準に落とし込んでいきましょう。たとえばエンジニアの中途採用の場合は、以下のような採用基準が考えられます。
書類選考
- 必須条件:大学卒以上
- 歓迎条件:エンジニアの実務経験3年以上
面接
- 志望動機を明確に説明できるか
- 質問に対して論理的に回答できるか
- 自社の事業内容に関する質問に答えられるか
採用基準は採用市場や自社の状況によって異なるもの。さまざまな状況を考慮して、定期的に採用基準を見直しましょう。選考の通過者があまりにも少ない場合は、採用基準を修正する必要があります。
採用基準を作るときの注意点

最後に採用基準を作るときの注意点を3つピックアップしましょう。
- 法律に反する内容が入っていないか
- 公正な採用基準になっているか
- 採用基準は定量化できるものを策定する
それぞれ以下で詳しく説明します。
法律に反する内容が入っていないか
厚生労働省のページなどを参考に、法律に反する内容が入っていないかをチェックしておきましょう。または専門家に依頼して、リーガルチェックを通す必要があります。これらの対応を怠ると、意図せず法律違反になることも。
性別や身長、体重、病気の有無などを採用基準に含めることは禁止されています。また2007年10月から募集・採用において年齢制限の禁止が義務化されました。
年齢制限に関して、厚生労働省が発表している「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」のなかで具体的な事例や例外が認められるケースが記載されています。採用基準を作成する前に確認してみてください。
公正な採用基準になっているか
公正な採用基準になっているかを必ず確認しましょう。先述したように、採用基準に含めることを法律上で禁止されている項目があります。
厚生労働省が公表している「採用選考時に配慮すべき事項」を参考にして、採用基準を見直しましょう。「採用選考時に配慮すべき事項」で記載されている「就職差別につながるおそれがある14事項」は以下の通りです。
本人に責任のない事項の把握
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること
- 住宅状況に関すること
- 生活環境・家庭環境などに関すること
本来自由であるべき事項の把握
- 宗教に関すること
- 支持政党に関することの把握
- 人生観・生活信条などに関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
採用選考の方法
- 身元調査などの実施
- 本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
- 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
上記の項目をエントリーシートや面接で尋ねてはいけません。企業と求職者がお互いに不快な思いをしないためにも、採用基準を慎重に定める必要があります。
採用基準は定量化できるものを策定する
採用基準は定量化できるものを策定し、採用基準で用いる言葉の定義は明確にしましょう。採用基準の目的のひとつは「誰が採用担当者でも同じ選考に結果になる」こと。せっかく採用基準を設けたのに、言葉の捉え方に差があると採用基準を作った意味がなくなってしまいます。
たとえば「論理的思考力があるか」という基準があると想定して考えてみてください。論理的思考力とは、物事を順番立てながら考えて説明できる力を指します。
「論理的思考力」という言葉の捉え方は人によって異なるでしょう。「質問に対して根拠をもって答えられる」や「結論から先に述べている」など、具体的な定義を定めておくと公平に選考を行えます。
自社にマッチした人材確保につながる採用基準を
自社にマッチした人材を採用するために採用基準は明確にしましょう。採用基準を設けることはミスマッチの防止だけでなく、採用業務の効率化にも効果的です。
採用基準を作るときは現場の意見を取り入れながら考えてみてください。採用市場や自社・競合他社の状況を考慮することも重要です。
「より効果的な採用基準を作りたい」や「作成した採用基準に問題がないかチェックしてほしい」という方には、採用コンサルティングや採用代行サービスの利用をおすすめします。採用のプロに相談すれば、ノウハウにもとづいた採用基準を作成してくれるでしょう。
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