【具体例あり】エンジニアの目標設定は必要?メリットやポイントを解説

会社から目標設定シートの提出を求められ、何を書くべきか分からずに困っていませんか。毎日の仕事に追われて目標設定をする余裕がない人は多いでしょう。
本記事ではエンジニアが目標設定をする重要性やメリット、具体例について解説します。正しい目標設定を行えば効果的なスキルアップが期待でき、エンジニアとしての成長が見込めます。

エンジニアの目標設定は重要

仕事をする上での目標設定は、エンジニアだけでなくすべてのビジネスパーソンにとって重要です。目標設定をすることで、理想の自分になるためのキャリアプランを明確に設定できます。
目標設定をしないまま日々の業務をこなすことは、羅針盤を持たないまま航海するようなもの。「自分に合わないキャリア形成をしてしまった」「経験を積める企業でモチベーションが上がらずにすぐ退職してしまった」など、貴重な時間を無駄にするおそれがあります。
また企業によっては、人事評価の中で目標設定の内容を評価基準に組み込んでいる場合もあります。社員の目標設定を人事評価に組み込むことで、達成進捗や目標が達成できていない場合の改善対応など、ビジネスパーソンとしての能力を評価しています。
エンジニアの目標設定は「個人の人生の充実」と「健全な企業活動」、両方にとって不可欠な要素と言えるでしょう。
エンジニアが目標設定をするメリット

エンジニアの業務は多忙になる場合が多く、「忙しいんだから目標設定なんてやりたくないよ…」という不満を抱えることも。しかし、目標設定をすることで毎日の業務に追われることなく、自分のキャリアを見つめ直す機会を得られます。
ここでは、エンジニアが目標設定をするメリットについて解説します。
現状のスキルを把握できる
1つ目のメリットは、スキルを把握できる点です。目標設定をきっかけに自分のスキルの棚卸を行うことで、エンジニアとしてのスキルが不足している部分を俯瞰できます。
「エンジニアとしてどれほどのスキルを持っているのか」「どれほどの市場価値を持った人材なのか」「目標達成のためにどんなスキルが足りないのか」を自分で把握することは、今後のキャリアプランを明確にすることにも役立ちます。
とくに1つの客先への常駐期間が長いSEや、同じ会社で長期間働いているエンジニアなどは、自分が担当するシステムの仕様や作りを知っているため、新しいスキルを学ばずとも仕事を回せます。しかし、知識やスキルが固定化されてしまうデメリットもあるので、定期的にスキルの棚卸しをすることが重要です。
目指すキャリアの方向性が明確になる
2つ目のメリットは、目指すキャリアの方向性が明確になる点です。目標設定は「どんなエンジニアになりたいのか」を明確にすることにつながります。自分の目指すエンジニア像が明確になれば、方向性やキャリアプランも自然と明確化されます。
自分のキャリアのゴールを考えることはエンジニアに限らず、全てのビジネスパーソンに必要です。とくにエンジニアの場合、「システムエンジニアか、Webエンジニアか?」「フロントエンドか、バックエンドか?」「技術を極めたいのか、マネジメントに幅を広げたいのか?」など、方向性に応じて必要なスキルや経験が違います。
目指すキャリアの方向性を明確化させ、「今の業務は目指すキャリアにつながるのか」「今の職場で何を身につけるべきか」など、適宜今のキャリアを振り返りましょう。
モチベーションアップにつながる
3つ目のメリットはモチベーションアップにつながる点です。目標設定をすることで、目標をクリアすることにやりがいを感じたり、自分の中にあるもやもやを改善できたりするためです。
目標がないとただ日々の業務をこなすだけになってしまいマンネリを感じてしまうことも。目標設定をすることで、日々の業務にも小さなステップやゴールを作ることができます。ゲーム感覚で目標達成を楽しめる人なら、よりモチベーションアップにつながるでしょう。
また、日ごろから業務で不満に思っていることがあれば、それを目標設定につなげることもおすすめです。働きやすさに直結することなので、モチベーションアップにつながるでしょう。
キャリアアップにつながる
4つ目のメリットはキャリアアップにつながる点です。目標設定を行い、達成し続けていけばキャリアアップにつながります。
社内の人事評価システムの一つに目標設定を採用している場合は、目標達成が人事評価のプラス要素となり、昇給や昇進につながる場合もあります。また、理想のエンジニア像に必要な要素を目標設定のゴールにすることで、キャリアアップやキャリアチェンジに役立つスキルやノウハウを得ることにもつながるでしょう。
目標設定をするときのポイント

ここからは、目標設定のポイントを解説します。ポイントを理解し、自分の目標設定を見直してみましょう。
理想のキャリアから逆算して考える
エンジニアが目標設定をする際、理想のキャリアから逆算して考えることが重要です。
しかし「理想のキャリア」といっても、経験の少ない若手エンジニアには考えることが難しい部分かもしれません。まずは、これからスペシャリスト志向(技術)に進むか、マネジメント志向(リーダー)に進むかという方向性を決めましょう。
技術を極めるかマネジメントに幅を広げるかは、エンジニアのキャリアパスを考える上でのベースとなります。経験を積むにしたがって考えが変わっても問題ないので、まずは今の自分が惹かれる方向性で目標設定をしましょう。
スペシャリストになりたい場合は、システムエンジニア、Webエンジニア、インフラエンジニアなど、どの方向に進みたいのか深掘りし、そのために必要なスキルや知識の習得を目標にすると良いでしょう。マネジメントを目指す場合は、実務スキル以外に必要なスキルの洗い出しから始めることが重要です。
定量的な目標を設定する
定量的な目標を設定することも重要なポイントです。定量的とは、数字を用いて具体的に判断可能にすること。
例えば「単体テストを早くできるようにする」という目標において、これでは達成条件が不明確で、達成判断がしづらいですよね。そこで、「単体テストにかかる日数を、4日から2日に短縮できるようにする」という形にすれば達成結果を判断しやすくなります。この「4日から2日に短縮」という数字を使うことで、定量的な目標設定が可能となります。
前提条件をつければ、さらに分かりやすくなります。「DBアクセス系処理の単体テストを、試験項目作成からテスト完了まで2日で行えるようにする」。これなら、どの機能のテストを、どこからどこまで、何日でやるのかが明確になります。
目標はできる限り細分化する
目標を細分化し、現実的に達成できるものに設定することもポイントとして重要です。高い目標を立てるのは素晴らしいことですが、実現できなければ意味がありません。目標が非現実的であれば、行動を始める際の一歩も重くなってしまうんです。
目標を細分化して現実的に達成できるよう設定することで、目標達成までにかかる時間や道筋も明確化されます。「具体的に何をすべきか」が明確になるため、行動に移すことが簡単になる効果も。スモールステップで目標達成を体験することでモチベーションアップにもつながるでしょう。
目の前の業務だけを目標にしない
目の前の業務だけを目標にしないことは非常に重要なポイントです。
「○○プロジェクトの□□という機能の仕様を把握する」
「社内開発部の人間関係を円滑にするよう努める」
などの形で、常駐先や今の会社でしか通用しない目標を設定することは避けましょう。
なぜなら、スキルアップの範囲が狭い中での目標設定で満足し、新しい技術や知識を吸収できないからです。自分の目の前にある業務から目標を立てても、キャリアアップやキャリアチェンジにはつながりません。とくに現在従事している業務範囲を超えたエンジニアになりたいと思っている場合は、より視野を広げた目標設定をすることが重要です。
【経験レベル別】目標設定の具体例

ここからは、経験レベル別に目標設定の具体例を紹介します。本記事ではエンジニアの経験レベルを、ジュニア(1~3年目の若手)、ミドル(4〜7年目の中堅)、シニア(8年目以上のベテラン)と分類しています。
ジュニアエンジニアの目標設定|1年目〜3年目
ジュニアエンジニアの目標設定では、エンジニアとしての基礎固めをメインに行うことをおすすめします。年次が上がるごとに、技術的な要素をレベルアップさせる方針で考えると良いでしょう。
【具体例】
▼1年目
- 〇〇の言語を習得する
- フレームワークを理解する
- 会社の研修を全て受ける
- 資格を取得する など
▼2年目
- 新たな言語の習得
- 担当システムのプログラム設計、実装、単体テストを独力で完成させる など
▼3年目
- 担当システムの詳細設計から結合テストまで完遂できるようにする
- 新人指導として言語の理解をサポートし、新人が簡易なプログラムを独力で実装できるようにする など
ミドルエンジニアの目標設定|4年目〜7年目
ミドルエンジニアは、スペシャリストか、マネジメントかどちらに進むのかも考えた上での、長期的な目標設定が重要になってきます。
【具体例】
▼スペシャリストを目指す場合
- 要件定義から基本設計を行える
- 基本設計に伴い、結合試験より上の総合試験に関われる
- 実装についても、後輩や協力会社が作成したコードのレビューを行える
- 客先への設計内容の説明が行える など
技術とコミュニケーションの両方を意識した目標を立てましょう。
▼マネージャーを目指す場合
- 破綻しないスケジュール作成を行う
- 各担当者のレベルに合わせた実装・テストの割り振りができる
- 客先とスケジュール調整が行える
- メンバーの課題を解決し、チームの就業環境を整えられる など
プレイヤー以上にコミュニケーションを意識した目標設定が重要です。
シニアエンジニアの目標設定|8年目〜
シニアエンジニアは10年近い経験を積んでいる段階です。スペシャリストかマネージャーかの道がある程度明確化している人も多いでしょう。これまでの経験も踏まえて新しくチャレンジしたいことや極めたいことを明確化することが重要です。
【具体例】
▼スペシャリストの場合
- 適切な技術選定(プログラム言語、ミドルウェアの選定)ができる
- DB接続処理や共通処理など、システムの基盤となるプログラムの実装ができる
- ミドルウェアやサーバーのライセンス料を考慮して選定できる
- クラウドサーバー(AWS、Microsoft Azure)などの選定ができる
- オンプレミスでサーバを運用するなら、サーバスペック、ネットワーク構成、セキュリティの設計ができる など
スペシャリストの場合、新規システムの立ち上げや、大規模なリプレイスを任されることがあります。また、インフラ系かアプリケーション系かなどにより、目標が細かく別れる点も特徴的です。
▼マネージャーの場合
- 月の工数から必要なエンジニアをアサインできる
- 経営視点を取り入れるために視座を広げる
- 割り振られた予算の範囲内でプロジェクトを完遂できる
- 客先とプロジェクト進捗の共有や、折衝が行える
- 協力会社が必要な場合、適切な会社を選定できる など
マネージャーの場合、経営に関わる要素が増える可能性があるため、予算やコストも意識した目標設定が必要になります。
目標がないときはどうする!?

どうしても目標が思いつかず、困っているエンジニアも多いでしょう。
目標がない場合の対策として、職場の先輩や現場で活躍している人など、第三者の意見を参考にすることをおすすめします。思い当たる人がいない場合は、SNSなどで探してみることも必要です。
職場の先輩に相談
まずは職場の先輩へ相談しましょう。可能であれば、同じ部署・常駐先にいる年次が近い人が好ましいです。年次はプラス2年前後を目安にしましょう。
目標が思いつかなくて困っていることを伝えた上で、「自分と同じ年次のときにどんな目標を立てたのか」「目標設定で苦労した点は何か」などを相談することがおすすめです。その際、「技術系の目標を立てようと思っている」「資格取得を目標にしたい」など方向性だけでも示せば、明確なアドバイスをもらうこともできるでしょう。
さまざまなレイヤーのエンジニアとつながる
自分と近いレイヤーのエンジニアだけでなく、さまざまなレイヤーのエンジニアとつながることも大切です。さまざまなキャリアを積んでいる人の話を聞くことで、理想のエンジニア像が明確化することもあります。聞いた話がすぐに役立たなくても、必ずいつか役に立つ話が聞けるはずです。
身近に相談できる人がいない場合はSNSの活用を検討しましょう。
ロールモデルを参考にする
社内外に関わらず参考にしたいエンジニア(ロールモデル)がいる場合、その人を参考にすることをおすすめします。
なぜそのロールモデルに惹かれたのか、理由は何か、他の人と何が違うのかを深堀りすることで、今後のキャリアや目標が明確になることもあるでしょう。実際にロールモデルから話を聞ける関係性の場合は、話を聞くことも重要です。自分の考えを伝えた上で、ロールモデルの人がどのようなキャリアを歩んできたのか、目標設定の際に何を意識していたのかなど、参考にできる部分を取り入れてみてください。
目標設定で理想のエンジニアキャリアを実現しよう
今回はエンジニアの目標設定について解説しました。エンジニアにとって目標設定は評価アップや転職が有利になるため非常に重要です。目標設定を行うことでスキルの強化や、社内評価やキャリアアップにつながるなどのメリットがあります。
理想のエンジニア像から逆算し、細分化された目標設定をしましょう。どうしても目標が見つからない場合は、周囲の方から意見を聞くことも重要です。積極的に行動しながら、自分のキャリアを作り上げるための目標設定をしてみてくださいね。
